イギリスの自宅出産事情
前回、唐突に自宅出産を考え始めた経緯を書き始めまてしまいましたが、多分日本では自宅出産を選択肢として考えることはまずないだろうし、イギリスでもよくある訳ではないので自宅で出産するのがどういうものなのか書いてみます。
私が調べたこと聞いたこと経験したことをもとにしていますが、病院によって異なることもあるかと思うので、実際に自宅出産しようと思う方はご自身のかかっている病院、ミッドワイフチームに確認してください。
BabyCentre UKによると自宅出産した人は、イングランドでは2.3%、ウェールズでは3%、スコットランドでは1%、北アイルランドでは0.3%。病院からの距離がある地方に行けば行くほど自宅出産をするのは難しいため、スコットランドや北アイルランドの数字は低くなっています。
誰でもできるの?
お産が始まると2人の助産師さんが自宅にきてくれます。お医者さんは立ち合いません。なのでリスクが高い出産はできません。
逆子だったり双子を妊娠していたり、妊娠高血圧症候群の疑いがあったり。また、年齢や既往症、1人目の出産で何か問題があった場合などでも自宅出産を反対されるようです。私の同僚は40歳のときに2人目を自宅で産みたいと言って反対されたそうです。年齢以外のリスクが何もなかったから強行して無事に自宅で産んだそうですが…。
その他に自宅出産出来ない例を挙げてみます。
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無痛分娩したい場合ー途中で自宅出産を諦めて病院に移動することは可能
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誘発しなければいけない場合 ー破水から時間が経ってしまった等
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正期産じゃない場合ー自宅で産めるのは妊娠37週から41週の間だけ
つまり、分娩中かその後かに医師の立ち会いが必要な場合はダメということです。
ちなみにイギリスでは医者が立ち会わないのは病院で産んでも同じです。独立したbirth centreや病院の中のmidwife-led unitと呼ばれる医者が常駐しない部門で産むことができます。何かしら医療の介入が必要な場合は病院内の医者がいる部門に移動したり、独立したbirth centreであれば救急車で搬送されます。
妊娠中も問題がなければmidwifeと呼ばれる助産師さんにしか会いません。妊娠中2回行われる超音波検査はsonographerと言う超音波検査士が行います。私も二度の妊娠出産の経験の中でお医者さんに会ったのは、長女の出産後の会陰裂傷の縫合のときだけでした。
安全性は?
基本的に自宅出産は低リスクの場合しか行われないため、病院で産む場合より著しく安全性が劣るとは考えられていません。
National Childbirth Trustが掲載しているBirthplace Study 2011によると、経産婦の場合は、計画的自宅出産の安全性は病院での出産と変わらないとのことです。初産の場合は1000人中4人の割合で、病院よりも自宅のほうが問題が起こる確率が高いとしています。
また、先ほどのBaby Centreのページによると、自宅出産のうち約20%が分娩中または分娩直後に病院に搬送されており、初産の場合は45%、2人目以降の場合は12%まで下がるそうです。
主な搬送理由は、分娩に時間がかかりすぎてしまったことと赤ちゃんに負担がかかってしまったこと。そして、特に初産の場合は無痛分娩に切り替えるため、だそうです。
どこでも出来るの?
水中出産のためのバースプールを置くのでない限り広さは要らないと言われています。私はあまり家具がない空き部屋を使ったので、レンタルしたバースプールにエクササイズボール、ヨガマット、座りやすいアームチェアとシングルサイズのマットレス、そして産まれたばかりの赤ちゃんを置く台を用意したらかなりのスペースが必要でしたが…また、やはり汚れるので色々な対策は必要です。
そして、36週に自宅出産に問題がないか助産師さんが事前確認に来てくれました。長いチェックリストに従って色々なことを確認していきましたが、重要なことは万が一のときに直ぐに病院に行けるか、ということの確認でした。
救急車を呼ぶ場合のために携帯がつながるか、自宅前に救急車を駐車するスペースがあるか、など。
書きながら思い返してみると、病院で産む以上に準備は大変でした。でもやってよかったと本当に思います。詳しくは引き続き出産レポートに書いていきたいと思います。