イギリス子育てレポート

ロンドンで子育て奮闘中。調べたこと、やってみたこと、感じたことをレポートします。

ロンドン地下鉄の座席ゆずり事情

今日は育児から若干話がズレますが、ロンドンの地下鉄について書きたいと思います。UndergroundまたはTubeと呼ばれるロンドンの地下鉄は、主要な交通手段の一つです。

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イギリス版マタニティマーク

世界初の地下鉄の設備を現在も使っているので、あちこち段差だらけでエレベーターはない駅のほうが多いと、ハード面では妊婦にも子連れにも優しくない作りです。ですが、ソフト面では心温まることが多いです。抱っこ紐で娘を連れて乗ると100%席を譲ってもらえます。座ると起きちゃいそうだから断って立っていたときは、20分間乗っている間に5人に声をかけられるという記録があります。

妊娠中もほとんど毎日席を譲ってもらっていました。ロンドン交通局TfLにオンラインで申し込めば、日本のマタニティマークみたいなBaby on boardバッジをもらえるので、これをつけていました。このバッジ、かなりの市民権を得ているようで、通勤していると毎日必ず1人はつけている人を見かけます。

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日本のマタニティマークは、座席譲って欲しいアピールと見られるなんて心無い話を聞きますが、ロンドンでは付けていてくれるほうが良いという意見のほうがよく聞きます。妊娠初期は見た目では分からないからっていう真っ当な理由もあります。でも本当のところは、こちらでは立派な体型の女性も多いので、妊婦さんかどうか見分けがつかず席を譲りにくい、ということ。女友達でこう言う人がよくいるので、男性だったらますます譲りにくいはず。バッジをつけていてくれたほうが、安心して席を譲れるということです。

 

私に席を譲って下さい!

そして、なによりこの国には言いたいことを主張する風潮があります。地下鉄の中でもそれは同じです。車両の幅が狭いロンドン地下鉄は、座席と座席の間に人が立っていると、そこを別の人が通り過ぎるのは難しいくらい狭いです。ぶつかりながらならなんとか通れるけど、ぶつからずには無理という感じです。それなのに、ラッシュ時に車両の中のほうに入らず、ドアの近くで通せんぼ状態の人が結構います。そういうとき、車内放送でも注意を促してはいますが、次の駅でその電車を待っていた人が"Move down inside please!!"と叫びながら乗ってくるのは普通です。

 同様に、妊婦さんが座席を譲ってと言うのだってありです。言っている人を見たことも何回かあります。私自身は、妊娠初期つわりもそこまでひどくなかったので、座れなくても仕方がない程度にしか思っていませんでした。ですが、妊娠20週で切迫流産になってからは、周りにどう見られようと自分の体と赤ちゃんが大事、絶対に席を譲ってもらうようにしました。ほとんどの場合、誰かが先に気が付いて譲ってもらえていましたが、何回かは勇気と声を振り絞って「誰か席を譲って下さい」と言いました。みんなが下を向いて新聞を読んだり携帯をいじっているのを見ると気づかないふりされているのかと思い、声を出すのは勇気がいりました。でも、ほぼ全ての場合で反対に「気が付かなくてごめんなさい」と言ってもらえたのです。

 

この国には自由に主張していい空気があるのが、イマイチなところがいっぱいあっても住んでいける理由の一つです。主張しないと誰も気付いてくれない、と言うべきかもしれませんが。その分周りの目を気にしなくて良いのです。

 

 

地下鉄の中に見る英国紳士

そして、娘を預けて出勤する今は妊婦でもなんでもない私に戻りました。ロンドン地下鉄の中でも特に混雑がひどい路線を使っているのですが、実は今も結構な確率で途中から座れます。なぜなら、私は女性だからです。

途中大勢の人が下車する乗り換え駅があり、いつも1つ、2つは座席が空きます。その座席の前に立っているのが、パリッとしたスーツを着て通勤していく若くて育ちが良さそうな白人男性なら、すぐには座りません。自分の前の座席が空いても周りに女性が立っていたら、彼らは絶対に座りません。こんな書き方したら人種差別的な感じですし、若くても座る男の人もいるし、白人じゃなくても女性に席を優先してくれる人はたまにいるし…いや、でもやっぱりスーツ着た若い白人男性が座らない確率はかなり高いんですよ。

私の夫も、安物スーツをヨレッと着てはいますが一応その分類に入り、女性が立っている状況で座るのは居心地が悪いから、最初から座ることを諦めているとのことです。田舎育ちで公共交通機関で通学・通勤した経験がなかった夫は、はじめて東京でそれなりに混んでいる電車に乗ったとき、若い女性に席を譲って変な目で見られたそうです。さすがにロンドンでも女性というだけで、座っている人が立つということはありませんが、立っている女性を差し置いて座るというのは、男性として恥ずかしく感じるそうです。

こういうことなので、私は隣の男性が座らず、周りにお年寄りも妊娠さんも体に不自由がある人もいないなら、ありがたく座らせていただいています。

 

気持ちに余裕を

こんな英国紳士たちを見ると、とてもありがたく感じはしますが、イギリス人よりもずっと多いであろう長時間労働でヘトヘトの日本人男性に、同じことを期待するのは酷なことに思います。日本に帰る度に夜の電車の中で寝ている人の多さに驚かされます。居眠りに対する態度の違いもありますが、みんな疲れてるなぁ、という印象が拭えません。日本のマタニティマーク批判だって、疲れて余裕がないことの表れですよね。

私自身は、常に人に席を譲るくらいの余裕を持っていたいな、と思います。妊娠中は沢山の人に席を譲ってもらったので、お年寄りや妊婦さんがいたら絶対に席を譲ってあげたい。今日は産後はじめて妊婦さんに座席を譲る機会があったので、この気持ちを忘れないように書いてみました。