イギリス子育てレポート

イギリスで子育て奮闘中。調べたこと、やってみたこと、感じたことをレポートします。

それでも翌日退院してよかったと思うのは

イギリスで出産して翌日に退院した結果、赤ちゃんは黄疸になりかかって、再び産んだ病院に行くことになってしまった話の続きです。

 

yumih.hatenablog.com

ブログ始めたばかりにも関わらず、この記事には数名の方からスターをいただき、とても嬉しかったです!ありがとうございます!

 

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産後4日目の体に鞭打ってほぼ一日を病院で過ごした日曜が明けて、月曜はヘルスセンターで退院翌日に来てくれた助産師さんとの検診です。普段は歩いていく距離だけど、出産時の会陰裂傷の痛みに前日の疲労が加わり、とても歩けたものではなかったので夫に車を出してもらって行きました。週末に起こったことを説明すると、「10年前にはこんなこと滅多になかったのに最近増えてる。ロンドンでは予算が足りなくて十分な数の助産師が雇えなくて産後のケアが追いつかなくなってる」と申し訳なさそうに説明してくれました。実際、同じ時期に出産したママ友でも同じように黄疸のためすぐに病院に戻ることになった人がいたし、私の1か月前に地方都市で出産した夫の従妹のところには、退院後3日間は助産師さんが来てくれたらしい。十分な数の助産師さんがいたら、この国の翌日退院システムでも基本的には大丈夫なのかも?

 

私たちは国営医療サービスNHS(National Health Service)を利用して出産したので、出産当日に希望して個室に一泊したから100ポンド(現在のレートで1万3千円くらい)かかった以外全て無料です。バースプラン通りにできた水中出産、会陰裂傷がひどくて受けた手術、退院翌日に自宅まで来てくれた検診、そして黄疸の検査も、何もかも当たり前のように無料。結局娘も大事には至らずに済んだことを思うと、すぐに退院して夫と実母に囲まれて(義母も、私たちがいない間に母と一緒に食事をしたり買い物を手伝ったりと助けてくれました)、娘を自宅に連れて帰れて幸せでした。だから、2人目ができたら自宅出産したいと目論んでいます。

 

残念ながら、NHSの予算は年々削減され続けています。今回の妊娠・出産を通して何度も通院したり、実は切迫流産で入院したりしているので2回の入院を経験して、1人の入退院に膨大なペーパーワークをこなしていたり、頻繁なシフト交代のために何度も同じことを違うスタッフに説明しなければならなかったり、無駄が多く効率化が必要な印象は否めません。それでも、根本的な改善をしないままサポートが必要な人を十分にカバーしきれない程予算を削減してしまうのはどうなのでしょう。外国人の私がこの国のサービスを非難するのはおこがましいかもしれないけれど、外国人でもこの国に住む全ての人に公平で平等な医療を提供するNHSの精神を尊敬しているからこそ、もっと良くなって欲しいと思うのです。

 

結局、黄疸になりかかった娘は上手に母乳を飲めていなかったようで、至急ミルクをあげて、私のほうは搾乳して母乳の量を増やす必要があるとアドバイスを受けました。ミルクの買い置きなんてしていなかったから、夫が慌てて買いにいって飲ませてみると、あっという間にゴクゴクと飲み干し、出なくなっていたウンチもまた出るようになりました。産前に念のため買っておいた手動の搾乳機では腕が痛くなるまで頑張っても20mlも搾れず、勧められたメデラの電動搾乳機を買いに夫がデパートまで走り、なんとか私の母乳もだんだんと出るようになりました。母乳を出すのがこんなにも大変だなんて、両親学級で数時間の講義を受けただけの私たちは知りもしませんでした。助産師さんが退院翌日以降来てくれなっただけでなく、母乳育児についての無知が敗因の一つだったと思います。

 

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黄色っぽい顔で眠る娘

 

イギリスで出産を控えてる人の不安を煽るような記事を書いてしまったような気がします。でも、出産翌日、本当に不安で退院したくないと思うなら、不安な事柄をきちんと説明し病院に留まらせてくれ、とはっきり伝えたほうがいいと思います。気づいてくれるなんて期待していたら何も起こらない、はっきり言わないと伝わらないこの国で生きていくには、自分から強く主張することが大事です。また、私は産後に知ったのですが、NHSでは不十分に感じるけどプライベートで出産するのは無理という人はドゥーラを雇うという選択肢があります(ロンドンには日本人ドゥーラの方もいます)。そして、一緒に病院に泊まるために寝袋を持って行ったほうがいい、というのが病院の床にタオルを敷いて眠った夫からのアドバイスです。